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Dolls…
第19章 泣きながら、あなたを…
傷だらけの背中がバスローブに擦れて痛くて背筋をちゃんと伸ばせないでいるのを安藤さんは見抜いていた。

だからといってこうなった事情は口が裂けても言えない。

「あの…、ちょっといろいろあって疲れてて…」

全く的を得てない返答だが、とりあえずは体調不良ということで何とか誤魔化そうとした。

安藤さんって変に勘がいいから少しでも変な動きをしたら背中の傷がバレる。

背中を擦り剥く体勢と言ったら…、そうやって逆算されて全てがバレてしまい兼ねないし。

「大丈夫?部屋まで送ろうか?」

「だ、大丈夫です…。1人で帰れますから…」

これ以上安藤さんといたら危険だ。

安藤さん本人は優しいいい人だけど、この人の鋭すぎる勘が怖い。

「それじゃ…」

そう言ってフラフラになりながらも安藤さんの横を通り平気な振りをして部屋へ戻ろうとした。

ここでフラフラしたら変に思われる、そう思い痛いのを堪えながら背筋を伸ばしていつも通りの歩行を続けた。

怪しまれないように、痛いのを我慢しながら…。



ザラザラしてるタオル生地のバスローブ。

糸の目に背中が擦れて痛いけど、とりあえず安藤さんの目の届かない所まで歩こう。

安藤さんの視界から消えられれば何とか…





安藤さんの横を通り抜けていち早く安藤さんの視界から消えようとしたその時だ。





「椿ちゃん、背中…」

「え…?」

椎葉さんの声に思わず振り返った。


「背中に、血…」

「━━━━━っ!」




ヒリヒリ痛む背中。

タオル生地のバスローブと傷が擦れて、血が…。




「バスローブに血が滲んでる!怪我してるのっ!?」

安藤さんが私の後ろから私の腕を掴んだ。




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