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Dolls…
第20章 別れの背中
「秋人。お前が奈々を振ったのは俺に気を使ってるからだと思ってた。お前の母親の事は関係ないって…」

「……タイプじゃなかっただけだ。それに俺は、あんな女に興味は」

「あぁ。わかってるよ。あれは誰も悪くない。奈々が勝手にお前に惚れただけだ」

安藤さんの声色が少し変わった。

さっきまでの声色じゃない。

椎葉さんを怒鳴り付けてた声じゃなく冷たく、凍てつくような冷めた声色に変わっていた。


「興味がないならどうでもいいよな?奈々の事も、椿ちゃんの事も…」



━━━━━━━っ!!



作業をしてる椎葉さんの手が一瞬止まった。

安藤さんのその台詞の意味するもの。

椎葉さんはハッと何かに気づいた、が

「………興味ねぇよ」

その声はいつもと同じ、冷静沈着だ。







「だったら椿ちゃんは俺が貰うよ?」

「………っ!?」











何も答えず冷静を装う椎葉さんの背中に、安藤さんの冷たい台詞が突き刺さる。

興味がないと、自分の口でハッキリとそう言ったのだから。

「何を、馬鹿な…っ」

口ではそう言ってるが、彫刻刀を持つ手はわなわなと震えている。



「興味がないんだろ?だったら椿ちゃんがどうなろうがお前には関係ないはずだ」

「くだらねぇ冗談はそれくらいに…」

「冗談言ってるつもりはねぇよ」




荒々しい口調で喧嘩を売る安藤さん。

睨み付けるように振り返ると、そこにはいつもの目をした安藤さんはいない。

冷たく、自分を恨んでるかのような目で睨み付ける、見知らぬ男が立っているように見えた。


「お前は、何処と無く椿ちゃんの事を気に入ってるみたいに見えた。椿ちゃんに対する接し方や扱い方が奈々とは全然違って見えた」










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