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Dolls…
第22章 遠い街角
誘拐に脅迫に婦女暴行、余罪はたくさんある。

椎葉さんを警察に突き出すような事は出来ない。

「ね?だから、椿ちゃんは何も心配しないでここにいて」

「…はぁ」



だけど、赤の他人である椎葉さんと安藤さんが私のアパートに行き荷物を運び出すって方がリスクがあると思うけど…。





「さ、適当にソファで寛いでて!コーヒーはホットでいい?」

「あ、はい」





安藤さんに肩を押され私はクリーム色の大きなソファに導かれた。

柔らかなカーペットの上を歩きソファに腰をかけた。





「じゃ、コーヒー淹れて来るね。暇ならテレビでも見てて。あ、リモコンはテーブルの上ね」

「あ、ありがとうございます」


私のお礼を聞くと安藤さんはニコリと笑いリビングを出ていった。

キッチンで私のためにコーヒーを淹れてくれようというのだ。


腰かけたソファの後ろの窓からの差し込む太陽の光。

その光に釣られるように思わず振り返り太陽の光を見つめた。


眩しい…。






……でも、何だか久しぶりに生き返った気分だった。

明るく差し込む太陽の下に生活感のある部屋。

こんな高級マンションで寛ぐなんてまだ慣れないけど、でもここは私が元いた世界だ。

椎葉さんの屋敷が浮世離れしすぎてて、まるでお伽噺か夢の世界のようだった。

人間味もなければ生活感もなかった。


だけど、ここは違う。

ここは、人間の世界だ。

私の戻るべき世界なんだ。


人形もなければ、変な部屋もない、怪しい業者もいない。


ここが私の、本来の住むべき世界なんだ。








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