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Dolls…
第23章 危険な香り
そう言えば椎葉さんの名前にも"秋"って漢字が入ってるしな。

秋生まれだからなんだ。

安藤さんなに比べると落ち着いた雰囲気だしもっとずっと歳上だと思ってた。


椎葉さんへの思いを募らせる私の隣で安藤さんは私の服を楽しげに注文していた。

「こっちのワンピースも似合いそう!」




ここに来て思ったこと。

脱け殻のようになった私の為に安藤さんはいろいろお世話をしてくれてる。

安藤さんが私の髪をとかしたり、安藤さんが選んだ服を着たり…。

これじゃ椎葉さんの屋敷にいたときと変わらない。

椎葉さんと全く同じだ…。




「ねぇ、安藤さん」

「ん?何?」

「私、明日にでも仕事を探します。あと不動産も何件か回りたいんですけど」

「…え?どうして?」




だって、これじゃ椎葉さんの屋敷を出た意味がない。

いつまでも安藤さんに甘えてちゃいけない。

椎葉さんの手元を離れた今は自分の足でしっかり歩かなくちゃ…。

「いつまでもお世話になるわけには…」

「いや…、本当に気にすることないから…っ」

「でも…っ」

「それに、俺のリフレッシュ休暇ももうすぐ終わって仕事にも復帰するし生活費の事は気にしないで!」


お金の心配をしてるんじゃなくて…。

何もせずにふっと1人になった時に思い出してしまう。

椎葉さんの事を…。


何か…、私にも何か気が紛れるような何かが欲しかった。

それに、私が上京した本当の理由は美大に入学するためだ。

その為にも仕事を見つけてお金を貯めなくちゃ。


「学費もちゃんと俺が稼ぐし!ね?」

「そ、そんな…。安藤さんにそこまでしてもらう理由は…」


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