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Dolls…
第23章 危険な香り
安藤さんのマンションに来てから何から何までお世話になりっぱなしだ。

ご飯の準備からお風呂まで頂いてる。

いくら傷ついてるとは言えこのままじゃさすがに悪い。

安藤さんの優しさを無下にしないようにと思ってたがこれ以上は甘えられない。


脱衣所で安藤さんから借りてる黒のスウェットを脱ぎ捨て洗濯篭に入れる。

椎葉さんの屋敷とは違う普通の脱衣所と浴室。

高級マンションの浴室なだけあって私のアパートとは比べ物にならないほど綺麗だけど。


裸になり浴室のドアを開けると、そこは少し熱いくらいの湯気が充満していて蒸せ返りそうになった。

沸き立ての熱いお湯…。


だけど、居候の身で1番湯を貰う訳には行かないから私はいつもシャワーのみ。

シャワーだけで事足りる。

髪を洗って顔を洗って全身を洗って…。


椎葉さんの屋敷の浴室とは違う爽やかなトニックの香りが充満している。

男性独特の整髪料の香りだ。


だけど安藤さんは、女性の私に男性用のトニックを使わせるわけにはいかないと私専用のシャンプーとボディソープを買い足してくれたのだ。

浴室の隅に置かれてる浴室専用のラックに安藤さんのトニックと並んで私専用のシャンプーとボディソープが並んで置かれていた。

何とか…っていうモデルがCMしてたノンシリコンのシャンプーと、美容成分が入ったボディソープらしいけど

こんなもので綺麗になったって見せる相手もいないんだけど。



━━━━シャー…


シャワーの蛇口を捻ると熱いお湯が頭上から一気に降り注いだ。

頭から一気に汚れや憂いを落とすようにその熱湯を被った。



流れてしまえ…。

私の体に染み付いた椎葉さんの痕跡。

早く流れて、記憶と一緒に排水溝に流れてしまえ。



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