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Dolls…
第23章 危険な香り
パシャンッ、と水の跳ねる音がした。



「は、はい!何ですか…?」

「急にごめんね!椿ちゃんのパジャマ、まだ用意出来なくて…、今日も俺のジャージで我慢してくれるかな?」

「は、はいっ!私は…、全然…っ」




……びっくりした。

今の…、安藤さんにバレたのかと思った。

安藤さんの声で一瞬にして現実に引き戻されてしまった。




「本当にごめんね。着替えとバスタオル、置いとくね!」

「はい…、すいません…」









心臓が…、落ち着きなくドキドキと跳ねていた。

熱気で熱いはずなのに、私の体はガタガタと震えている。

私はその場に座り込むようにして崩れ落ちてしまった。



安藤さんは着替えを持ってきてくれただけで、私のあの姿や声は見てないし聞こえてもいないはず。

ここの扉は分厚いし音もそんなに漏れてないだろうし…。






シャー…




シャワーの音だけが響く浴室で私は自己嫌悪に陥っていた。

吐き気を催すぐらいの自己嫌悪。






安藤さんのマンションの浴室で、2度と会えない愛しい人を思い出しながら自分で自分を慰めていた。

目を閉じるだけで鮮明に思い出せてしまう。

その鮮明な記憶だけで私は何度も何度も欲情してしまう。

もう2度と触れることの出来ない愛しい人…。






「最低だ…、私…」






あと何回こんな事を繰り返せば椎葉さんとの思い出は消えてくれるのかな…?



























バタン…

「━━━━はぁ…。どうしてくれんだよ…、椿ちゃん…」


















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