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Dolls…
第24章 秘密の人形
「じゃぁ、すぐに作るね。椿ちゃんはお風呂でも入ってて」

そう言うと安藤さんは嬉しそうに勇み足で台所へと向かっていった、が

何がそんなに嬉しいというのだろうか…。



私は安藤さんの事など愛してもいないのに、そんな女をこんな形で閉じ込めて、あの人は幸せなのだろうか?

虚しくならないのだろうか?

…っていうか、お風呂を勧めるなら足の鎖を外して欲しい。

それに、晩ごはんと言っても、今は食欲すら湧かない。





足の鎖の長さはお風呂に入るには充分過ぎる長さだ。

だけど、鎖のせいで脱衣所のドアも浴室のドアもちゃんと閉まらない。

鎖のぶんだけ隙間が出来てしまう。


それでも、よくこれだけきっちり長さが計れたものだと感心してしまう。

トイレやお風呂は自由に使えても玄関までは届かないようになってる。

鎖の長さと部屋の構図が上手く重なり監禁するには持ってこいの条件になってる。

まるで誰かを監禁するために作られた部屋みたいだ。


お風呂に入る気にもなれずベッドに寝転び続けるのにも退屈を感じた私は

起き上がってベッドから下り、重い鎖を引きずりながら台所へと向かった。


私が歩く度に鎖がジャラジャラと音を立てる。



台所を覗くと安藤さんが鼻唄を歌いながら何かを刻んでいる最中だった。

リビングのテーブルの上にはカセットコンロと箸と茶碗がそれぞれ用意してある。



「あの、安藤さん…」

「ん?何?」

話しかける私に安藤さんは手の動きを止めて私の方を振り返った。

別に…、安藤さんと楽しくお喋りするつもりはないんだけど

「あれから椎葉さんは?」

「…え?秋人?」



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