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第24章 秘密の人形

「椎葉さんの…、お母さんの事や…、病気のことも、ぜ、全部…っ」



嗚呼、本当に…

今更知ったところでどうしようもないのに…

この現実は覆らないのに…。

安藤さんを使って椎葉さんの過去を調べようとしたからバチがあったのかな？

椎葉さんの事を知りたいと思う気持ちが先走り過ぎてこんな手に引っ掛かってしまうなんて…、本当に私は馬鹿だ。

悔しくて悔しくて、下唇をキュッと噛み締めた、が









━━━━━「本当だよ」










━━━━━━…っ!?

え…？














安藤さんを見上げると、安藤さんの目は真剣に私を見つめていた。

そこにはさっきまでの笑みも、私をからかい追い詰める時の企んだ笑みもない。

本当に、真剣な目で私を見つめていた。

その瞳に射抜かれたように私の体にビリッと電流が走る。



卑怯で、鬼畜で、計算高い安藤さんだけど…

でも、何と無くわかる。

今の安藤さんは嘘をついてるようには見えない。

少なくとも今の話は生々しくて…、やけにリアル。

じゃぁ、今の椎葉さんの話は全部真実…？


「今の話は全部本当。詳しくは知らないけど大半は秋人から聞かされた話だから」

「椎葉さんから…？」


椎葉さんから直接聞いた話ならきっと真実だ。

それに椎葉さんと一緒に育った安藤さんなら椎葉さんの幼少期の一部始終を見てるはずだし。


「そ、それじゃ…、椎葉さんのお母さんは━━━━…」



声が、震える…。

だって、その質問をした後の安藤さんの表情が一瞬曇った。

その一瞬の表情の変化で察しがついた。

聞いてはいけない過去。

安易に予想できたはずなのに…。







「死んだ。秋人を残して━━━━━」