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Dolls…
第26章 Dolls…
「それからだよ、俺がこんな風に壊れちまったのは…」

椎葉さんはふっと自分の両手を見つめた。

まるで、全ては自分の手から溢れ落ちて消えて行くんだと悟ったかのように遠い目をしていた。





「それから俺は人を信じれなくなった。

特に愛なんて目に見えないものは信じられない…。

どんなに愛しても、愛されても結局いつかは消えて無くなるんだ。

それもある日、何の前触れもなく急に、一瞬で…。

そんなもの、信じたくないしすがり付きたくもない」



「だから、今まで俺に好意を持ってくれた女とは距離を置いてた。

"どうせいつかいなくなる"と、ずっと諦めてた。

あんな想いはもうしたくなかった。

だから━━━━━━」






「……それじゃ」






そこで私はハッとした。

椎葉さんに拒絶されたあの日の事。

あの日の言葉。






「変だよな…。

俺を愛してくれる女には近寄れない。

いつかは失うんだと最初から諦めてる。

だけど…、俺を愛してない、憎んでる女なら、傷つくこともないし失うこともない。

初めから手に入ってないんだから…」








私が椎葉さんに想いを伝えたあの日の言葉。

冷静になれば気づけたはずなのに…。

あの日、椎葉さんは"ごめん"や"悪い"なんて言葉じゃなく、私に


"ガッカリ"と言った。


椎葉さんを愛した私に"ガッカリ"と。

どうしてこんな言葉の違和感に気づかなかったんだろう。

少し考えれば気づけた異変なのに。





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