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Dolls…
第5章 静かな晩餐
「ゲホッ…、ケホッ…はぁ…」

はぁ…、びっくりした…。

この人がいきなり変なこと言うから、食べ物が詰まって噎せた。

っていうか、格好悪いところ見られた…。

私をからかってるの?



噎せたせいで苦しくて、目に涙が浮かんだ。

詰まらせた食道がヒリヒリ痛い。

「へ、変なこと言わないで…」



この距離じゃ椎葉さんの表情はちゃんと見て取れないが、ワイングラスを傾ける椎葉さんの表情は至って真剣だ。

少なくとも、からかったり冗談を言ってる風には見えない。

……この人、やっぱり可笑しい。

「ケホッ…、別に、私なんか…」

椎葉さんの方、ちゃんと見れない。

ちゃんと見れなくて、さっきからずっと俯きっぱなしだ。

だって、本当に私はただの世間知らずの田舎者だ。

ついこの間田舎から出てきた田舎娘。

そんな私に向かって綺麗だなんてよく言えたものだ。

スタイルだって悪いし、大して可愛くもないし綺麗でもない。

自分の姿は自分が1番良くわかってる。


「お前は俺を嫌ってるだろうが俺の言葉まで否定するな。…お前は本当に綺麗だ。俺がモデルにしたいと思ったくらいなんだから」

「だから、別に…私なんか…」

「さっき業者から連絡が来た。お前をモデルにして作った人形、高値で売れたらしい。自分に自信を持て」

「それは…」


それは、椎葉さんの腕がいいからで私がモデルだからとかそんなんじゃない。

私をモデルにして作ったという人形の写真は見たけど、あれは私じゃない。

いくらか美化されて作った私とは何の関係もない、ただの別の代物。

確かに、フランス人形にしては黒髪で顔立ちも日本人風だったけど、あれは私なんかじゃ……。




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