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Dolls…
第6章 甘い嫉妬








自慢じゃないが、私は健康には自信があった。

東京に出て来てから風邪という風邪は引かなかったし、環境が変わったからといって知恵熱が出たこともなかった。

田舎にいた時だって、風邪を引いても薬を飲んで1日寝てればすぐに良くなった。

元々、体はタフな方だと思ってたのに…。


夜風に当たりすぎたのと、体を冷やしすぎたのとストレスのせいだと思う。

こんなに風邪が長引いたのは初めてだ。









「……ん」

次に目が覚めたのは、私が倒れてから3日目の昼過ぎだった。

「いっ…」

起き上がろうとしたが、まだ頭痛が残ってる。





…高熱に魘されてる中、何と無く覚えてるのは私を看病する椎葉さんの姿。

額の冷却シートを変えてくれたり、意識が朦朧とする私を抱き起こしてお粥やフルーツを食べさせてくれたり、薬を飲ませてくれたり。

体の汗を拭いてくれたり…。

「……………………………っ!!」

そこまで鮮明に思い出した瞬間、急に恥ずかしくなり布団を頭からガバッと被りその記憶を消去しようとした。


い、いくら高熱に魘されて意識がハッキリしてなかったとは言え、あんな人に看病されて、挙げ句体まで拭かれてしまった。

ってことは、体の隅々まで見られてしまったって事だ。

……最悪だ。



しかし、私に酷いことばかりしてきた椎葉さんが、何故にこれほどまでに私に献身的に尽くしてくれたのだろうか?

せっかく手に入れたモデルだから…?

でも、モデルなんて何も私じゃなくても…。



あの日、食事の最中に倒れてから今日まで、病人である私に椎葉さんは指1本触れることはなかった。

着替えや汗を拭く時以外で、私に破廉恥な行為を仕掛けて来ることはなかった。


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