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妖婦と呼ばれた女~哀しき恋歌~
第6章  【四】
     【四】

 年が明けた早々、下屋敷の春瑶院をひそかに訪ねてきた者があった。お高祖頭巾を目深に被り、目立たぬ地味な小袖を纏った女はまだ若く、終始、おどおどとした印象で人眼を気にしているように見えた。
 追い返しても良かったのだが、その時、春瑶院がその女に逢ってみる気になったのも、何かしらの勘が働いたのだろう。
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