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タンバリンでできたオーロラ
第18章 ダッテリーノ

 淫靡なダッテリーノの缶の山を回り込んで、俺はレジの中から薄い伝票用紙を取り出した。

 一枚千切って、その裏側を彼女に差し出す。

「よければ、入荷したときにお届けしますよ」

 低く、囁くように。

「そう、ですか……」

 彼女は一瞬ためらいを見せたが、すぐに意を決して伝票用紙を受け取る。
 そのとき、俺の指と彼女の指が触れあった。

「あ……」

 小さな驚きの声が漏れる。
 俺は黙ってボールペンを差し出した。キャップの側を先に向けて。

「お届け先と、連絡先を」

 それだけで伝わる。
 彼女も、今度は黙ってペンを受け取り、サラサラと住所と電話番号を書いて俺に返す。

 その顔が、やや上気して赤らんで見えたのはオレンジの強い照明のせいだろうか。

 俺にはダッテリーノの赤に見えた。

「それじゃ……」
「それじゃあ」と、俺。

 彼女は、豆と缶詰を元に戻すと、店から出て行った。

 暑い季節にも関わらず長い丈の、しかし薄手の生地のスカートに透ける肉感的なシルエット。

 俺に見送られた後ろ姿は、しかしすぐに陽光の中へと消えた。
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