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タンバリンでできたオーロラ
第24章 強姦戦士ケンジャマン

 柔和な顔立ちの若い男だった。
 ベレー帽に眼鏡、品の良いループタイという、TVで見かける文化人のような服装。

 悪徳の街には似つかわしくない出で立ち。
 そして口にされたのもまたふさわしくない言葉だった。

「女性に乱暴はいただけませんね」

 状況としては相応しいセリフであったかもしれないが、この街でそんな事を言う者は叩きのめされるのが常だ。

 案の定、カナコを弄んでいた男たちは声を荒げていきり立った。

「いただけません、だあ? どこの僕ちゃんだおメエ」

「乱暴なんかしてねーよ、いいことしてただけだっつーの!」

「お前になら乱暴してもいいってことか?」

 そう。
 このほうがしっくり来る。

 ここでは男たちのほうが常識。
 悪の栄える街なのだ。

 しかし、謎の男はまるで意に介さずに、一歩足を踏み入れると言った。

「今すぐそのレディから手を離しなさい」
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