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タンバリンでできたオーロラ
第36章 セキュリティ・システム
人は個人の意識の他に、集団や民族、生物種として共有する無意識の領域を持つ。つまり、心の奥底では他人と繋がっている。

私たちの開発チームが実施した実験は、手違いから全地球的規模で人間を集合的無意識から切り離してしまった。

その結果は、ほとんどの人には影響がなかったが、集合的無意識から切り離された瞬間、死亡してしまう「人間」がいた。その数、百人に一人の割合。
そして、死亡した人々を調査した所――彼らの出自、素性が一世代以上遡れないということが判明したのだ。

国籍や年齢、性別は様々で、家族を持っていた者もいる。外見上、そして実質上も普通の人間と何ら変わりがない。しかし、皆、一様に「誰から生まれたのか」が不明だった。いつのまにか人間社会に紛れ込んでいた――そうとしか言えない人々の存在が、私たちの実験の予期せぬ暴走の結果、明らかになった。

もちろん、これは最初からすぐに結論が出たことではない。混乱の後にチームリーダーである一嗣が提唱した仮説だ。


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