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タンバリンでできたオーロラ
第37章 英雄 ~あるいはコロンブスと卵の話~
潮混じりの強い風が頬に痛い。

それでも、僕は顔を真っ直ぐに前に向け、振り返ることなく海を越えてゆく。
果てしなく広がる大海原。天空の太陽は波間に散って無数のきらめきとなり、僕たちの影をうねる海面に落とす。

猫のような海鳥の声が遠くで聞こえたような気がした。きっと、陸が近い。旅の終わりを目前にして、僕は思いを馳せずにはいられない。

コロンブス。

そう、あのコロンブスのことだ。

新大陸発見を成し遂げた、誰もが知る偉人を僕は想う。

いかめしい顔をした巻き毛の肖像画を思い浮かべる者もいるだろう。だが、彼にはいくつもの顔があった。
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