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第18章 波瀾のdate

彼の周りには、何人か立ち止まって聞いている若い女性がいた。



皆頷いたり身体を揺らしたりしながら聞き入っている。



ほなみは、吸い寄せられる様にその輪へと近付いていった。



男性が、ちらりとこちらを見たが、その瞳の妖しい輝きにほなみはドキリとした。



『 黒く 重い 塊(かたまり)が


身体の中から


ズルリと 抜け落ちて


ああ


軽くなった


せいせいした


なのに あの子は


悲しんでいる


｢それは ただひとつの


希望だったのに ｣



知るかよ


そんな事



俺は これでいいんだ



放っといてくれ』





歌詞もメロディーも決して明るいとは言えないが、高い透明感のあるボーカルでさらりと聞かせてしまう。



その不思議な歌に、ほなみは暫し痛みを忘れた。