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第10章 蒼 eyes.1 葛藤の日々

　

「……っ」


また、沸々と募る苛立ち。

だから！　姉貴はどうしてそう、女としての危機感が無頓着なんだ！

俺が弟だから？

安心しきっているからこそ、裸を見られようが全く気にしないのかもしれない。



……じゃあ、俺が男だってことを姉貴の体へ嫌でも思い知らせたら？



まだ胸の中にわだかまっている神谷への嫉妬が、封印しているはずの理性の蓋を剥がそうとする。


「……い？　蒼ってば！」


しかし、姉貴が俺を呼ぶ声にハッと我に返った。


「あ……な、なに？」

「なにってもう……だから、結局神谷先輩からの電話ってなんだったのか聞いてるんでしょ？」

「あぁ、それか」


明日の朝８時に○○駅の西改札口にあるベンチ横で待ち合わせ。

そのまま伝えようとして口をつぐむ。