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狂い咲き
第1章 狂い咲き 1
 忌まわしい忘れてしまいたい記憶がある。

 忘れてしまいたいのに、無意識に私は、彼のことを思いだしてしまう。

 思い出せば、思い出すほどに、おぞましい恐怖に身体が凍りついてしまう。

 今でも身体に残る鞭の跡。

 あの打たれ続けた痛みを思い出すだけでも身体中が、あまりの恐怖に震えだす。

 丸裸にされてしまったところがある。

 数日と、監禁され、このまま殺されてしまうのではないかと思うほどに、甚振られ辱められ続けた。

 いつ終わるとも知れない堪え難い痛みに、私は、いつか、発狂してしまうのではないかと思えるほどだった。

 嫌というほど痛めつけられると、これ以上ないほどに辱められた。

 彼がやっと私を開放し、自由になっても心はけして開放されることがない。

 今でも、あの日の出来事を思い出すばかりだ。

 新しい彼ができたとき、裸になるのが怖かった。

 丸裸にされたところを見られるのが嫌で、なかなか新しい彼の求めに答えることができなかった。

 だからと言って、正直に答える勇気もない。

 渋る私に、新しい彼は別れを告げてきた。

 私はどうしても新しい彼と別れたくなかった。迷いながらも私は、新しい彼の求めに答えた。

 そっと、両足を押し開かれたときは、すべてが終わったとさえ思えた。

 だが、新しい彼は、これといって疑う素振りもなく私を愛しんでくれた。

 セックスが終わった後、「妙に興奮したな」と笑っただけだ。

 新しい彼に抱きよせられ、聞かれたことは、丸裸にされたところではなく、なぜ、セックスを渋っていたかだった。

 私は、新しい彼に抱きつき、「恥ずかしかったから」と、嘘をついた。

 しかし、彼と出会ってしまって変わってしまったのは、どんなに新しい彼が好きで、いくらセックスで愛しまれても、私の身体が満たされることはない。

 新しい彼と肌を重ねるごとに、あの忌まわしい彼を思い出す。

 新しい彼と、肌を重ねるたびに、自分を慰める日が増えた。

 けして、新しい彼は、セックスは下手ではない。

 無理やり彼から覚えさせられたオーガズムを必ず私に与えてくれる。

 愛しみから生まれるオーガズムは、これ以上ないほどに女の悦びを感じることができた。
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