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狂い咲き
第6章 狂い咲き 6
 もう思い出したくもない。

 私はパソコンの前で、新しい彼からメールが届くのを待ちながら、テーブルの上で気がつくと顔を突(つ)っ伏(ぷ)し泣き出していた。

 新しい彼が、いくら旅行に誘ってくれても、怖くて行くこともできない。

 遠出ををするのも嫌だ。

 また、騙し連れ出され、嫌というほど犯された挙句、気が触れたくなるほど痛めつけられるような気がしてならない。

 新しい彼には、車酔いが酷いからと嘘をつき続けている。

 それなら、「新幹線ならどう?」と言ってくれる。

 そのたびに、「タクシーに、乗らなくちゃ駄目でしょう」と言い返すばかりだ。

 そんな私に、「なら、電車を使って、少し歩くけど、見晴らしのいいところに行こう」と、夜景の綺麗なところを提案してくれた。

 新しい彼は、ドライブが好きで、色々なところに行きたがる。

 ドライブがてら寄った素敵な場所に、「私を連れて行きたい」と言われると、嬉しくて仕方がないけど、本当のことを話すこともできない。

 新しい彼は「きっと気に入るよ」と、夜景の景色を撮った画像を送るから、「待っていて」と言われ、私はパソコンの前で、新しい彼のメールが届くのを待っていた。

 メールの着信の音に涙を拭き、顔を上げると、届いたメールに顔が凍りついた。

「そんな」

 送信者の名前に、思わず身体が震え上がった。

 きっと、スパムメールだと思いながらも、メールを開くと叫び上げたくなった。

 卑猥な生々しい画像が、何枚も貼りつけてある。

 彼のペニスをはっきりと飲み込んだ結合部が並ぶ。

 明らかに彼であることが分かるのなら、彼のペニスを飲み込んでいるは私だ。

 私は書かれている内容を恐る恐る読んだ。

 もし、返信をしなければ、すべての内容をインターネットに流すと書かれてある。

 私はメールに書かれてあるURLをクリックすると暗証番号を打ち込んだ。

 そこには目を疑いたくなるばかりの映像が流れていくばかりだ。

 映像は、彼に鉄格子に押し込まれ、着衣を引き裂かれた挙句、嫌というほど殴られ、犯され泣き叫ぶ姿から始っていた。
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