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ネムリヒメ.
第6章  ホットミルク.



ソファーが軋んで、隣が温かくなる


こんな時間に寝ないでなにやってるんだ…

突っ込みどころ満載なはずのに…無言のまま、なにも言わない彼

ただ黙って隣にいる


「寝ないの…?」


そんな彼に聞こえるかどうかの小さな声で呟く


「ん…?」


彼はそれだけ言うと、アタシの髪に触れてくる

夜の冷たい空気に冷えた髪から彼の温かい体温を感じたとたん、心臓がギュッとなった



「…お前…素直じゃねーな」



「ッ…うるさい…」



今にも消えそうな小さな呟きがリビングに消える



素直じゃないアタシ…


本当はひとりで心細くて、彼の優しさに今すぐすがり付きたいのに

素直になれずそんな言葉が勝手に口から出てしまう


「どんなワガママ言ったって、今さら困んねーのに」


今さらって…

きのうアタシはどれだけワガママを言って彼を困らせたんだろうか…


渚くんの声に顔を少しだけあげる


…アタシはその瞬間、心臓がトクンと大きく鳴ったのを聞き逃さなかった


銀色の月光に照らされた彼の顔はずっと眺めていたい思ってしまうほど綺麗で、波のように揺らめく光を映した彼の優しい瞳がアタシを見つめている

アタシは心を奪われたかのように彼から視線を外すことができなかった

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