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ネムリヒメ.
第8章  雨.



「手首は? 捻挫とかしてない!?」

「ぃっ…!!」


葵くんに手首を少し強く握られると痛くて声があがる


「腫れてるもん…湿布しようね」

「うん…」


器用な葵くんが丁寧に手当てしてくれて、アタシのカラダは見事に絆創膏だらけになった


「ねぇ、ちーちゃん…」

「アイツ…雅って言うんだけど、ゴメンね」

「ぇっ…」


ああ、彼…か

でも葵くんが謝ることじゃ…


「乱暴だし、口も悪いし、態度悪いし…機嫌悪いと怖いし、女の子に優しくないし………オレのコト呼び捨てにするし…」


若干、葵くんの個人的な不満が入ってる気がしたけど…


「でも、アタシもぶつかったし…」

「こんなに傷だらけにされてそれ言うの!? …女の子に乱暴なんて絶対ダメ!」


少し強い口調の葵くんがアタシを抱き締める


「それにちょっと言いづらいけど、雅もここに住んでる…んだ」


それを聞いて、一瞬ビクッとカラダがこわばった


玄関でのやり取りでの、あたかもここが自分の家であるような彼の口調に過っていた不安が現実になる



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