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ネムリヒメ.
第3章  無くしたモノ.



千隼がバスルームに入るのを見送ると、渚は静かに部屋を出た


長い廊下の先にある美しくエッジを描く階段を降り、1階にあるリビングにやってくるとフッと息を吐いてソファーに腰を沈める


誰もいないリビングで少しの間ソファーの背もたれにカラダを預け、そのままぼんやりと高い天井を仰いだ


そして取り出したタバコに火をつけると
目を閉じて深く煙を吸い込む


目を細め少し気だるい表情で、フーッと煙を吐き出すと窓から差し込む明るい光に目を細めた



それから ゆっくり時間をかけてタバコを一本吸い終えると、ソファーから立ち上がりリビングの奥にあるダイニングへと足を向け扉を開けた



中に入ると食事の支度をしていた人物、
先ほど部屋に入ってきた金髪の男…葵(あおい)が振り返る


「あれ、ちーちゃんは?」


「風呂…」


渚は葵に向かってそう吐き捨てると

イスに座るなりテーブルに肘をつき、そこへ額をのせて深いため息をついた


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