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第21章 　あの夜の王子様.

次は聖だな…

訳もなく葵を軽く悩殺した渚は聖の姿を探した


心理戦で駆け引きを楽しむ聖…

そんな彼がチップをカモる場所はだいたい検討はついていた

葵のいたルーレットのテーブルから離れ、ポーカーの行われているテーブルに目を走らせる


すると…


「あぁ…こっちはこっちで目立つな」


渚の目に留まる一際盛り上がる一台のテーブル

卓上の様子が、囲むギャラリーの隙間から垣間見える

相変わらず読めないポーカーフェイス

僅かにニヤリと口元だけを楽しそうに歪めながら、頬杖をついてカードを眺めるひとりのオトコ

２枚の手札を指先で弄びながら、同じテーブルにつくプレイヤーたちの表情を伺っている


「ガチだな、聖のヤツ…ったく、アイツの本業どっちだよ」


ただでさえ掴めないオトコが、ポーカーフェイスを装い互いを探り合う駆け引きの大勝負に出ようとしている…

そう察した渚はすぐに声をかけることをためらい、そのゲームを見守ることにした


聖のテーブルで行われているのはテキサス・ホールデムと呼ばれるポーカーだ

このポーカーは、各プレーヤーに裏向けに配られた2枚のカード

そして、表向けにテーブル中央に配られる全員に共通の5枚のカード

この合計7枚のカードのうちから5枚を組み合わせて手役の強さを競い合うゲームである

プレイヤー同士で賭け金をつりあげて行き、最後に一番強い役を持っていれば勝ちで、勝ったプレイヤーが賭け金を総取りできるというルールだ