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第9章 あい、見えます。

「やだっ……、きたなっ…から………」


はっとして上体を起こしかけるも、そこから走った熱い感覚に、浮かびかけた背中がシーツに沈む。


身体を洗う時くらいしか触らないような所に、佐々木が唇を当てている。


なんだか分からない、熱く痺れる部分を舌先で舐められている。


「んぁ…、ぁ、あ……」


もどかしくて、擽ったくて、熱っぽくて、腰から爪先が燃えているようにジンジンする。


「や、ぁ……、だめっ……、そ、んな、とこ……」


お腹の少し下、普段は隠されているはずの場所に吸い付かれて、甘噛みされて、思考が快感の渦に水没しかける。


「汚くなんて、無いですよ」


「ひ、ぁ……ッ」


そこに唇を押し当てたまま喋られて、身体中が甘く痛く炙られた。


汚くないなんて、そんなわけがないと何度も首を振るのに、そんな仕草を見ているのか見ていないのか、佐々木の舌は、ゆっくり舐め上げるスピードを緩めない。


濡れた音が微かに鼓膜に届き、縋るものを求めた指がシーツを引っ掻いた。


「愛しくて、堪らないと思っています」


「ふ、ぁ…、アッ……」


強く吸い付かれて、痛みにも似た強い感覚に、身体が跳ねる。


呼吸が乱れて、息を継ぐことも下手になってしまう。


ゆっくり離れた唇が左の太腿に触れたおかげで、ほっとして息を整えようとするも、今度は、荒く上下する胸元に、腹部にあった右手が伸ばされてくる。


「……ぁ」


頬に触れられた時には大きな掌だと思った、その指が左の胸元に触れて、形を確認するように包み込んでいる。


「ん……」


暖かい掌は、放置されたままの左の先端に、やはり触れてくれない。


まるで胸の膨らみを温めるように、淡い力で揉んでは角度を変える。


その間に、左手が右の太腿を静かに這い上がると、内腿を指１本でスッと奥へ向かって撫で上げた。


「ぁ……」


漸く呼吸が落ち着きかけたのに、足元の悪戯な指先が、かろうじて残っていた思考回路の欠片を砕こうとしてくる。


「ん……、ふ、…アッ、ん、アッ」


意識を腰の奥に向けた途端だった。


胸元の手が、ずっと放っておかれた左の先端を、徐ろに指の間に挟んだ。


痛いほどにギュッと摘まれて、胸ではなく、何故か腰が震えた。