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愛玩寵姫 - Dream Dolls - 茉奈
第4章 ●わたしの声が漏れていく…
――茉奈の部屋に戻った『牡丹』――春日麻耶――が目にしたのは、布団の中で身悶える少女の姿だった。

「…ぁあぅ…ハァ、ハァ…んぅ…ッ!」

「茉奈ちゃん…!」

「ぁ…ぁあ…牡丹…さん…!身体が…熱いの…!」
「窓を開けていないわね。シャワーも…入らなかったの!?」
「ごめん、なさい…!…ハァ…ハァ…っ!」

厳しい牡丹の口調に驚く茉奈だが、身体は相変わらず火照り、力が入らない。
その様子を見た牡丹は、すぐに窓のほうへ行き、告げた。

「窓を開けるわ。そしてその布団から出て、すぐにシャワーを…!」
「…ぃ…いや…。窓開けたら…この声…聴かれちゃぅ…ッ!…ぁあ…ん…ハァッ…!」
「いいから。開けるわよ!」

――ガラッ!

外の空気が流れ込み、鳥の声や、道行く車の音などが鮮明に聞こえ出す。

「…ぁ…イヤぁ…!」

少女の小さな拒否の声を無視して、牡丹は布団を引きはがすと、「いいからシャワーを浴びてきて!」と告げた。

部屋着に火照った顔、息の上がった茉奈はかろうじで、女の目を見つめ返した。

「……春日、さん?」

唐突に本名で呼ばれ、牡丹はうろたえた

「…見たのね。あれを」
「うん…。蘇我製薬って、書いてあった。パパが…共同研究をしていたわ…。私の身体について何か知っているのね。あの『薬』のことも、私のこの、『アレルギー』についても…」

牡丹――春日は、観念したような表情をして、言った。

「知っているわ…知っていることは、きちんと話すから。だからまずはシャワーを浴びてきてちょうだい。それが…。必要なの。」
「……わかったわ」

そう言って、茉奈は階下の風呂へと降りていった。

その背中を見送ると、牡丹―春日麻耶―は、天井を見上げて、深くため息をついた。

「…小泉先生…。ゆるして…。」

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