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恋花火
第21章 だって好きだから
「ていうか、タケル三回も見学行ってたんだね。」

「まーね。」


陸先輩がタケルに話しかけてきた第一声は、"おまえのこと知ってる"だったらしい。


陸先輩も小学校の頃からサッカーをやっていて、大会で見かけたり、私の中学にも知り合いがいるって話。


「その時思った。あーもう俺終わったなって。サッカー人生もここまでかって。」


だけど陸先輩の二言目は、予想外の言葉だったという。


「一緒にプレイしてみたかった、って言われた。」

「おー、すごいじゃん。」

「敵じゃなくて、仲間としてやりたいって言われて……もうそれ言われた瞬間、この人について行きたいって思ったよ。」

「それは本当にそう思っちゃうね。」

「だからさ、俺、新キャプテン決めるアンケートで陸先輩の名前50個書いたからね。」

「……そのアンケート監督とマネージャーで集計したんだよね。言いにくいんだけど、そういうのは無効にしたよ……」

「げっ!マジかよ!」

「バカじゃないの?アンケートの説明に書いてあったでしょ?名前は一人一個まで。それ以外は無効とするって。」

「うわー!読んでなかった!ただ陸先輩推しだったからさぁ」


本当…


バカじゃないの?


あまりにバカで、まぬけで、


大爆笑しちゃった。






「久々に聞いた、そのバカ笑い。おまえ本気で笑うと顔も崩れまくり。」


嫌味を言われても、タケルにだったらまぁいいや。


たくさんの涙と共に不安は飛んで行って


たくさんの笑いと共に自分の中の自分もようやく見えてくる。



「……だから俺は陸先輩のことを信じてついていく。おまえは違うの?」


その質問には、迷わず答えられる。


「私も信じてる。……だって、すごくすごく、好きだから。」
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