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恋花火
第4章 高校一年生*夏
合宿1日目の夕飯は唐揚げ定食。


作るのは食堂のおばさんだけど、配膳はマネージャー総出でお手伝いをした。


「タケル君美味しい?」


ユリ先輩に聞かれて、タケルは、「美味しいです」って満面の笑みで答えていた。


唐揚げ大好きなタケル。


今日は強化合宿で、いつもの部活で走る距離の何倍も走ったから、とっても美味しいよね。


「…いただきます。」


健康な身体と美味しい食事に感謝して、手を合わせた。


「美味しい〜!外はカリカリ中はジューシー!」


隣に座ってる美波も感激するほどの美味しさ。


他のサッカー部の人たちと話をしたりしながら、みんなでワイワイ賑やかに食べるご飯は、いつもよりも美味しく感じた。





「やっと寝れるー」


夕飯の後片付けをして、大量の洗濯物を畳み、そしてお風呂を終えて部屋に帰ってきたのは23時を回った頃。


マネージャーの泊まる部屋はそれぞれ二人組の個室を与えられた。


「あたしレンとこ行ってくるからー♡」

「早く寝なよ。」

「あんたも行けば?じゃーね♪」


美波はレンと待ち合わせをしていて、いそいそと部屋を出て行った。


あんたも行けばって…タケルのところに?


会いに行く理由がないのに、どうやって?


美波たちのように付き合っているわけでもないし。


それよりなら、明日に向けて早く寝よう。


二段ベッドの下に入り横になる。


今日はとっても疲れた。


明日はもっと疲れるのかな…


考えていたら、睡魔がやってきた。


…と、そのとき。


バタバタと廊下から賑やかな音。


うるさいなぁ…こんな夜中に…


思っていたら、「菜月!開けろ!」


タケルの声がした。


「もー、なに。」


寝起きでぼんやりしたままドアを開けると、ハァハァと肩で息をしたタケルが立っていた。


「かくまって!」

「えっ」

「あとで説明するから早く!」


やたらと急いでるタケルの勢いに圧倒されて、部屋に入れた。
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