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恋花火
第7章 不機嫌なGIRL
気付けば、タケルの腕や顔が黒い。


「ねぇ…日に焼けた?」

「そ?」

「黒い…」


お盆の後は部活はなかったはずなのに。


「海行ったら焼けちった。」

「…茜先輩と…?」


思わず口からついて出た茜先輩の名前。


避けたかった話題をわざわざ自ら出すという…


「そだよ。あれ?知ってんの?」


あーあ。


茜先輩と行ったのかぁ


そっかぁ…。


「茜先輩って、スタイルいい?」


知りたいような、知りたくないような


「あーまぁふつー?」


タケルの言う普通ってわかんない…


ウエストくびれてた?


おっぱいは大きい?


私よりも柔らかい?


…ていうか、キスとかしたのかな…


これは本当に知りたくないので、話題を変えることにした。


…ところで、「菜月ちゃんだー」と、背後から声がした。


今、ちょっと会いたくない茜先輩が屋上に来た。


「菜月ちゃんも海に来ればよかったのにー」


茜先輩はそう言いながら私に抱きついてきた。


ふわりと、香水ではない、なにかいい香りがする。


「菜月ちゃんいいにおーい」


…いい匂いなのは、茜先輩の方だよ。


可愛くて優しくて、本当に素敵な人。


「やだよ、菜月来たら俺楽しめないじゃん。」

「もー。そんなこと言わないで。今度は菜月ちゃんも絶対来てね?」


タケルの言葉が深く胸に突き刺さる。


じゃあ、私がいない海はさぞ楽しかったんだね。


「菜月、先に教室帰っとけよ」


なんでそんなこと言われなくちゃならないの?


あとから来たのはそっちじゃん。


茜先輩が来てから、タケルの態度が急に変わった。


「菜月ちゃん…」

「いーんすよ。」


茜先輩とタケルを背に、私は屋上を飛び出て、一目散に階段を駆け下りた。



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