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純の恋人
第7章 真実の破片
 
 だとすれば、犯人がわざわざ目撃者を必要とした理由も分かる。目撃者がいなければ、犯人の一味が直接警察と話す事になる。だから身代わりとして、目撃者を立てたのだ。

「ですが、犯人は一つ誤算をしました。目撃者が敵対組織の若頭である僕だった事です。一般人ならばどの組だろうがヤクザはヤクザ、関わりたくないと深入りはしないでしょう。しかし結果、通報者は特定されました」

 若頭は、一見すれば一般人と変わりがない。三下なら、若頭だなんて知らないのだろう。一方、若頭は組の中枢にいる人間。個人の名前を即座に特定出来なくても、それがどこの組の人間かはなんとなくでも分かるのだろう。

「でも、どうして暴力団が私を病院送りにしなければいけなかったんですか? それに、どうしてそれが土居記念病院でなければならなかったんでしょうか」

「あなたが狙われた原因は、僕には分かりかねます。が、土居記念病院でなければならない理由は分かりますよ。理由は単純です、あの病院は、狩野組と裏で繋がっているからですよ」

 その事実は、全くの初耳だった。どこの暴力団が何と繋がっているかなんて、私には知りようのない事なのだから。
 
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