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純の恋人
第7章 真実の破片
 
 指摘されて初めて、私は不安を覚える。そういえばそうだ。イドさんが優しかったから気にしてなかったけど、知らない異性が同室なんて、普通はありえないはずだ。

「ベッドがどうしても足りないとか、救急でやむを得ず、という訳ではなかったのでしょう? 偶然男が同室になる事なんて、考えられませんよ」

 イドさんが、嘘をついている? まさか、そんなはずはない。そう信じたいのに、体が勝手に震える。さらに若頭は、私に非情な言葉を投げかけた。

「さらに言えば、国重だって怪しいですよ。今のあなたは、結果的に素性もろくに知らない国重を深く信用し、部屋にまで上げている。もしストーカーが国重であれば、病院送りにする事で、あなたに近付き信頼を得るという最大の目的を達成しています」

「そんな……でも、私と国重さんは、事件前に顔を合わせた事なんてないはずです!」

「あなた、自分がマスカレードのアンジュだと忘れているでしょう。あなたが国重に会わずとも、国重があなたに良からぬ想いを抱く事は可能です。それに話によればあなた、一回警察に駆け込んだ事があるんでしょう?」
 
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