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愛しては、ならない
第40章 更に抉られる、傷痕


胸を鳴らしながら、森本からのメールを開くが、文面を見て動悸が更に激しくなった。




『菊野さんの声が聞きたい』



一体どう返して良いのか画面を見ながら悩んでいると、今度は電話がかかってきた。



「ひえええええ――ど、どうしよう、どうしよう……」



オタオタしていたら、出るつもりもなかったのについ指が滑って通話を押してしまった。




「ぎゃっ……」


『……どうしました?
変わった挨拶ですね』


「う、ううう、ごめんなさいっ……こんばんは……」



――何故謝るのかよく解らなかったが、つい口から出てしまう。

少しの間の後、彼の笑い声が聞こえてきた。



『ははは……菊野さん、面白いなあ……』



その声の朗らかさに戸惑い混乱しながら、思い切って切り出す。



「あ……あの……写真の事……」



彼の笑いが止んだ。
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