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第41章 更に抉られる、傷痕②

ここに居ると、心と身体の平穏を取り戻せるかのようだった。

だが、いつまでもこうして居る訳にもいかない。

花野は「好きなだけいて頂戴」と言ってくれるが、この家からだと学校が遠い。

学校もいつまでも休む訳にいかないし、悟志が居ないあの家に菊野と祐樹、二人だけというのも心配だ。

俺は、そこまで考えて急に可笑しくなった。

――二人だけで心配だって?

寧ろ、俺が居ない方があの家は平和なのではないだろうか。

菊野の側に居たら、俺はきっとまた彼女を際限なく求めてしまう。彼女が拒もうが、冷たくしようが、泣いて抵抗しようが、組伏せて思いのままに抱いてしまう。

どんなに烈しく抱いても、くたくたになるまで彼女を責めても俺の欲は収まるどころか、増大する一方だ。

いつかきっと、壊してしまう。

彼女も、あの家も――