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愛しては、ならない
第44章 こわれる ②



夕夏は、黙ってしまった俺の顔を覗き込み、目があった瞬間頬を赤くした。

俺はタオルを手にそんな彼女を見詰めるが、彼女の唇が何かを言い掛けたその時、突然後ろから肩を叩かれ、驚いて振り向く。



「こらっ剛――!探したよ――!
呑気にナンパしてんなよ――!」



祐樹が背伸びをして肩をポカポカ更に叩いてきて、俺は苦笑しながら彼の頭を掌で掴んだ。

夕夏が後ろからヒョイと顔を出して、祐樹を見て顔を綻ばせる。



「ひょっとして、噂の弟さん?今晩は!」

「お姉さん、初めまして!西本祐樹です――!」



祐樹は俺に頭を掴まれたままで彼女に愛想を振り撒いた。

流石、奴は初対面の女性に受けが抜群にいい。

子供らしい笑顔と礼儀正しい挨拶で夕夏にすっかり気に入られたようだ。



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