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愛しては、ならない
第48章 喪われた記憶と


――剛さんが一緒に居る女の子って……誰なんだろう……



中学の頃にも、女の子からは人気があったようだが、特定のガールフレンドは清崎晴香しか知らない。

他はもう見当も付かなかった。



――無事でいれくれたら……また戻ってきてくれたなら……



と、祈る思いだったが、彼が戻ってきたとして、どんな風に接したら良いのか分からない。

つくづく自分は愚かで浅はかだと何度も思う。



『剛さん、チャリの後ろに女の子乗っけてさあ、競輪選手みたいに速いスピードで行っちゃったわよ。
チラッと見たけど、なかなか可愛かったわよ。
あの子もやるわよね――全く……』



真歩の言葉に、そんな場合ではないのに彼への嫉妬が胸の中を駆け巡った。




「本当に、私ってどうしようもないバカっ……」




私は、鏡の中の自分に向かって毒を吐きながら、顔色を良くする為に唇にリップを塗るが、浮かない表情はどうにも隠しようがなかった。

無理矢理笑顔を作ってみせても頬が引きつって、奇妙にしか見えない。



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