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愛しては、ならない
第3章 ガール・ミーツ・ボーイ



――初めてあの子を見た時から、惹かれていたのかも知れない……


剛さんは、まだ11歳だというのに、ひどく大人びた表情をしていた。

大人びた……

何をもって"大人"なのかと言われたら、返答に詰まってしまうけれど、一人娘できょうだいに揉まれた経験も無く、甘やかされて来た私の周囲には、同様に甘えたお嬢様しか居なかったのだ。

剛さんの様な表情の子供は見たことがなかった。



幼稚園から高校まで一貫教育の私立学校に通っていた私は、卒業と同時に両親に薦められていた男性と結婚した。


私よりも20歳上の悟志(さとし)さんは、奥さんに先立たれてしまってから独身で、子供は居なかった。


下手したら親子程の年齢差だったが、悟志さんは私をとても大切にしてくれた。
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