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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で


『菊野……っ?』



菊野は、俺の腕の中からするり、と抜け出し、宙を見詰める。

すると、何処からか現れた黒い影が彼女の身体を呑み込んでしまう。



『菊野、菊野――っ』



――そうら、お前の愛した菊野は、こんな女なんだよ……

よく見ておくがいい……



先程まで聞こえていた得体の知れない低い声は、途中から違う声色に変わっていた。

それは、俺がよく知る人物の物だった。



『……も……森本?』



黒い影は様々な形になり不気味に蠢いていたが、やがて人の形になり、菊野の姿も現れる。



『あ……ん……あっ……森本君……』



俺は目を覆いたくなる光景をこの目で見てしまう。

森本に烈しく責められながら、菊野が悦びの声をあげて腰を振っている様を。




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