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愛しては、ならない
第51章 ナイトメアの後で



「――うわああっ――」



絶叫した瞬間、カッと目が開いた。

目に映るのは見慣れない天井。花柄のカーテンの隙間から朝の日差しの光線が、部屋の中に細い線を描いている。

ふと横を向くと、小さな息を立てて夕夏が眠っていた。

夢を見ていたのか、と漸く理解する。

菊野を烈しく抱いてから、森本や悟志と絡み合う彼女を見せ付けられたのが夢で、病院から抜け出して夕夏のところへ転がり込み、夕夏と何度も身体を重ねたのが現実なのだ、と認識したが、途端に自分を嫌悪する。

俺は昨夜、夕夏に何をした――?

思い出せば思い出すほど、取り返しの付かない事をしてしまった、という後悔に襲われた。

菊野に拒絶された悲しと悟志に忘れられた衝撃で、自分の中の箍が外れてしまったのだろうか。

夕夏の好意につけこんで、飢えた心と身体を彼女の身体を使って充たそうとしたのだ。

夜じゅう、彼女を抱いて、啼かせて――

夢中で、貪る様に、獣の様に。






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