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愛しては、ならない
第52章 最後に、もう一度だけ



「剛さっ……何を」

「決まってるでしょう……貴女だって、俺が何を考えてるか、分かってる癖に――」


剛に太股を掴み左右に開かれて、私は必死に彼の胸を叩いた。



「ダメ、ダメっ……私にふれたらダメ……!」

「だったら……さっき……何故俺に手を伸ばして来たんですか」

「――!」



剛の目に悲しげな色が浮かぶがそれは一瞬で、直ぐに暗い情欲の色に塗り替えられていく。



「貴女だって……若い男とセックスしたかっただけなんでしょう……?だから俺を……っ」

「そんな……違う……!」

「違うなら何なんですか!……俺を愛してたからとでも?」

「――!!」



絶句する私を睨みながら、彼はシャツのボタンを外していく。



「……今日は……祐樹は?」

「……っ……」

「答えてください」



剛の指は器用に動き、あっという間にボタンを全部外してシャツを脱いで放った。

床にバサリと落ちる音と共に、私の中の辛うじて残っていた筈の理性が崩れるのを感じる。


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