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第53章 最後に、もう一度だけ②

「剛さ……剛さ……ダメ……っ……行っちゃダメ……あああ!!」

「何故引き留めるんです――!」



彼女が分からなくて、俺は苛立ちに紛れて腰を強く押し進めると、益々締め付けられて、まともな思考が難しくなってくる。

胸は張り裂けそうに苦しく、喉の奥が締められて耐え難い痛みを感じるのに、身体の中心にそそり勃つ獣は、狂った様に快感に悦び、それはやがて全身を支配していく。



「く……っ……菊野……俺を……こんなに風に狂わせて……っ」

「い……やあ……嫌よ……出ていくなん……ゆるさな……あああ」

「……全く……」



俺は、苦く笑って彼女に口付けながら腰を振り、囁いた。



「……う……っ……もう……色んな意味で限界……です……
もう……これで最後……です」

「……っ!」



瞼の裏に白い火花が散り、下腹部が一気に熱を増した。

もう、爆発してしまう。

今度果ててしまったら、俺にはもう彼女を愛する余力は残らないだろう。