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愛しては、ならない
第54章 四年後



冷蔵庫から水のペットボトルを出して一気に半分飲んでしまうと、チラリ、と時計を見て


――今日は、これから何をしようか……


と考えた。

祐樹は、今付き合っている彼女を家に呼ぼうかとも思ったが、彼女の家は異様に母親の干渉が厳しくて、何処かに出かける時には必ず

――誰と―、何をしに何処へ――何時に帰ってくるのか――

等は勿論、外出中には二時間に一度の電話連絡もしなくてはならない。

極めつけは門限だった。

確かに彼らはまだ中学二年生で、夜遅くに出歩いているだけで咎められ補導されるが、それにしても、門限七時と言うのはきついだろう。

彼女の家へは何度か遊びに行き、母親からも気に入られた様な手応えはあったが、だからといって安心は出来ない。

あの母親は、娘のスマホを一日一度はチェックするのだ。

なんでも、娘が誰かに苛められたりしていないか、悪い大人に騙されたりしていないかを見極める為だそうだ。

子供を守るため、と口ではいっているが、本当の所は違うのではないだろうか、と祐樹は思っていた。

病的な程の母の心配の裏にはきっと何かがあるはずだ。

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