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愛しては、ならない
第54章 四年後



リビングへ入っていく剛を追うように、祐樹は靴を脱いで中へと入る。

何処もかしこも整頓されていて、マメに掃除をしているのだろう、と思った。

菊野が、時々片付けをしようとここにやって来るらしいが、剛と鉢合わせしないように、剛がバイトの日を狙ってやって来るらしかった。

それも随分と妙な話だ――あんなに、剛が出ていったのを悲しんでいるのに、と思うのだが、その理由を聞いてはいけないような気がして、追求した事はない。



「お前さ――女の趣味変わったの?
顔はともかく、あのでかい声!
なんか、キツそうだしさ――近所で噂になったらどうするのさ」



祐樹は荷物を降ろし、勝手に冷蔵庫を開けてコーラを出してラッパ飲みをして文句を言うが、剛はクールな表情を崩さない。



「まあ、そうだな。ああいうのは俺も趣味じゃ無いんだが、あまりしつこいから抱いてやったんだ」

「――」



祐樹は危うく噴くところだった。



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