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愛しては、ならない
第8章 遊園地での賭け③



私は、そこでハッとする。


(好き――?)


祐樹を抱き締めながら、恐る恐る剛の方を見てみると、切れ長の冷たい瞳と視線が合わさり、同時に私の胸が痛い位に、鳴る。



剛の目の底に沈む、暗い色。


それを、痛ましいと思うと同じ位に、私は魅せられて居る……



剛の心の傷を癒したい、祐樹の良き兄弟になって欲しい、皆で仲良く暮らしたい――


その願いは決して嘘ではない。


けれど、それ以上に……

そんな建て前をひっくり返す位の、私の気持ちの本当の所に……

私は気がついてしまった。



「……菊野、さん」



「――っ」



剛が何かを言おうと、一歩にじり寄るが、私は震えてしまう。



そんな私を、祐樹が胸の中で澄んだ瞳で見ていた。


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