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愛しては、ならない
第55章 ウエデイングブーケ



真歩は雲居(くもい)という農家の息子らしかぬ茶髪で細身の優男で、五つ年下の男性に共同生活最終日に告白されたのだが、真歩は

「ごめんなさい」と断ったのだ。

雲居と真歩は、番組を見る限りではとても良いムードで、雲居は雲居で「真歩さんの過去の事は何も関係ありません。俺が絶対に幸せにしますから」

と言って、真歩もその台詞に涙ぐんだりしていたのだ。

ありがちな台詞といえばそうかも知れないが、番組の中で二人が夜ログハウスの屋根の上に登って、満点の星を眺めながらだったので、そのシチュエーションに私もきゅんとしてしまったのだ。

中々実際には経験できそうで出来ない愛の告白なのではないか、と当時はネットでも話題になったのだ。

他にも日常での二人の何気無い会話がとても良い感じだったので、私は当然二人はくっつく物だと思っていた。

なのに、予想を裏切る結末に思わずテレビ画面に向かって「えええ――」と叫んでしまった。

番組は予想外の反響だったらしいが、人気のあるうちに手を打とうとするのがメデイアだ。

「農家男子と結婚したい」のシーズン2が三ヶ月後、週一で1クール放映されたのだ。



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