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愛しては、ならない
第57章 二十歳の同窓会②



「――」



俺は喉まで反論の言葉が出かかるが飲み込んで押し黙る。

森本が、まだ外に居る俺に向かって呆れたように言った。



「おい……真面目にそろそろ入らないとマズイって。お前を同窓会によんで風邪をひかせたとか知れたら菊野さんに叱られるし」

「……る」

「……え?」

「菊野に会って……確かめてくる」


俺はタオルを彼に向かって投げ、彼らに背を向けるが、森本が鋭い声で呼び止めた。



「――剛」



振り返ると、奴は昔と変わらない柔和な笑みを浮かべている。



「俺は、菊野さんを抱いていない」

「――!?」

「……だから、詳しいことは菊野さんに聞けよ。お前にずっと会ってなくて凄く寂しがってるんだぞ?」

「……っ」




菊野が涙を溜めて肩を震わす姿が鮮明に瞼の裏に過り、俺は居ても立っても居られずに遂に走り出した。




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