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第58章 再会

「でも……メールでお祝いじゃあ……なんか味気ないものね……」



私は、剛にカードを贈る理由を無理矢理自分の中で作り、ペン先を紙に当ててまた考え込む。



「お誕生日おめでとう……二十歳おめでとう……成人おめでとう……ってこれじゃあ違うわね……」



ブツブツ言いながら視線を宙にさ迷わせて居たら、スマホが大音量で鳴って本気で驚いてしまいペンを落とす。

集中しすぎたようだ。



「もしもし……」

『菊野さん……僕です』

「あ……森本君、どうしたの?」

『今、何処にいますか?まだ剛の家に居ますか?』

「うん……そうだけど……もう少しで帰ろうかなって思ってた所よ。何で?」

『帰ったらダメです』

「ええ?」



森本は電話越しにきっぱりと言った。



『絶対、そこを動いたらダメですよ』