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愛しては、ならない
第59章 再会②


リビングから微かに白い光が漏れているが、何か小さな話し声が聞こえてくる。

そっとドアを開けると、明かりのついていない部屋のソファに横たわる菊野が見え、雨に打たれ続けて冷えきったはずの身体が一気に熱くなる。

ソファの前のテレビがつけっぱなしのままで、彼女は眠っていた。

小さな寝息が規則正しく、彼女の胸を上下させている。

俺は感動さえ覚えながら彼女の姿に見入っていた。四年前、別れたあの日から、一時たりとも忘れることの出来なかった彼女が、今目の前に居る。

あの頃と変わらぬ可憐な姿は俺の胸を甘く撃ち抜いた。

身に付けている可愛いエプロンはとても彼女らしいが、いつもこんなに可愛い姿でキッチンに立っているのだろうか?

その姿をいつも目に映しているであろう悟志の存在が、今堪らなく邪魔に思えて、彼女をこのままここに閉じ込めておきたい――という欲求が沸き上がる。

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