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愛しては、ならない
第59章 再会②



「ええ……居ますよ」



菊野は時計の時間と俺を交互に見て、泣きそうになっていた。

まさかこんな時間になっているとは思わなかったのだろう。

不安そうに窓の外を見て、未だに収まらない雨風に瞳を曇らせる。

そんなに、早く帰りたいのだろうか?

悟志の元へ、悟志の腕の中へと帰りたいのか――?




『酷い天気だしねえ……電車も動いていないし……
僕が車で迎えに行こうかと思うんだけど』



「――……ません」


『え……?』


「今夜は、菊野さんを帰しません」


『――っ?』




俺は、彼が何かを言い返してくる前に受話器を置いて、電話の線を抜いてしまった。



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