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愛しては、ならない
第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋



「――っ」



やはりあれは聞き間違いではなかったのだ。

剛は、悟志に私を帰さないと――

悟志が、フラッシュバックを起こして倒れている映像が瞼の裏に浮かび、背筋が凍った。



「……ダメよ……ダメっ‼帰らなくちゃ……っ悟志さんが……自殺してしまうかも知れない――‼」

「え……?」

「悟志さんは……悟志さんは、剛さんの事を話に出したりすると、発作を起こしたり、自傷したりする事があるのよ……っだから」

「菊野さん」



狼狽え、取り乱す私を彼は強く抱き締め、唇を重ねてきた。

舌が割って入って来て、それ以上何も話せなくなってしまう。




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