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第60章 静まらぬ嵐、吹き荒ぶ恋

彼のしなやかな指が髪を撫でている。

ゾワゾワと足元から上ってくる甘い感覚を遣り過ごそうとしても、耳元に彼の唇が近付いて来ると、更に身体が疼いて止まらなくなってしまう。

でも、そんな反応を彼に悟られる訳にはいかない。

私は自分にブレーキを掛けるように、彼の顔を見ずに俯きこう言った。



「止めて……っ……もし、これで悟志さんに何かあったら、私のせいだわ……っ」

「菊野さんは悪くない」

「でも……っ」



思わず顔を上げると、彼の真っ直ぐでガラスのように輝く瞳にぶつかり、息を呑んでしまう。